給料の前払いとは?仕組み・申請方法・利用時の注意点をわかりやすく解説
- 工場の仕事に役立つ情報
2025/06/26

予期せぬ出費が重なり経済的に苦しいとき、「給料前払い制度」の利用を検討したことがある方も多いでしょう。
給料前払い制度は便利な制度ですが、仕組みやルールを正しく理解しておかなければ、利用後に後悔してしまう可能性があります。
本記事では、給料前払い制度の仕組みやお金の受け取り方などを詳しく解説します。
利用する際の注意点も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
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TOPICS
給料の前払いとは?
給料の前払いとは、すでに働いた分の給料を本来の給料日よりも前に受け取れる制度です。
労働基準法第25条では、以下のような非常時に限り、会社に対して前払いを請求できると定められています。
- 出産
- 疾病
- 災害
- 結婚
- 死亡
- 1週間以上の帰郷
上記の理由で労働者から給料前払いを求められた場合、原則として会社は要求に応じる必要があります。
一方で、法律で定められた非常時に該当しなくとも、企業が福利厚生の一環として給料前払い制度を設けているケースも少なくありません。
会社の給料前払い制度は急な出費に困る従業員をサポートし、働きやすい環境を整えることを目的としており、導入企業は増加傾向にあります。
また、会社が実施する給料前払いは、会社が直接対応する「自社払い型」と、外部業者が立替える「立替払い型」の2方式が存在します。
給料の前払いと前借りの違い
「給料の前払い」と「前借り」は、お金を給料日より前に受け取れる点では似ていますが、法律上の意味合いはまったく異なります。
給料の前払いは、すでに労働した分の給料を受け取る行為です。労働の対価として確定した賃金を受け取る権利を行使しているため、返済の必要はありません。
一方、給料の前借りは、これから働く予定の分の給料を、先に受け取る行為です。
給料の前借りは法律で定められた制度ではなく、会社が従業員にお金を貸す行為にあたります。そのため、必ずしも要求に応じる義務はなく、従業員も返済の義務を負います。
また、前借りは金融機関に「働くことを条件とする借金」とみなされるリスクがあるほか、労働基準法第17条により賃金との相殺が禁止されているため注意が必要です。
なお、給料の前借りには回収リスクが存在するため、導入している企業は多くありません。
労働基準法第24条で定められている「賃金支払いの5原則」とは
労働基準法第24条では、労働者の生活を守るために、会社が給料を支払う際の基本的なルールとして「賃金支払いの5原則」を定めています。
給料の前払いも、賃金支払いの5原則に則って行われる必要があります。原則の詳細は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
1.通貨払いの原則 | 日本銀行が発行する通貨で賃金を支払うことが義務付けられている。外貨や現物(物品など)による支払いは禁止されている。 |
2.直接払いの原則 | 賃金は労働者本人に直接支払う必要がある。 労務の提供を行った本人以外への支払いは禁止されている。 |
3.全額払いの原則 | 賃金はその全額を支払う必要がある。会社が労働者に貸し付けている金銭を理由に賃金から天引きすることは認められていない |
4.毎月1回以上払いの原則 | 賃金は1ヵ月に1回以上、定期的に支払う必要がある。複数月分をまとめて支払うことなどは原則として認められていない。 |
5.一定期日払いの原則 | 賃金支払い日は「○日」「第○金曜日」など明確な期日を定める必要がある。「中旬あたり」「末頃」などの曖昧な表現による支払い日は認められていない。 |
上記の原則は、労働者が安定した生活を送るための基盤としての役割を果たしています。
給料の前借り・前払いのメリット
給料前払いの制度を利用すれば、急な出費が発生したときに生活費を確保できるため、精神的な安定や仕事のモチベーション維持につながります。
予期せぬ出費が発生した時に、銀行や消費者金融などに頼らずとも生活費を確保できる点も魅力です。
また、一般的なローンと異なり、審査が不要で利息がかからない場合が多いため、経済的な負担も少なく済みます。
すでに働いた分の報酬を先に受け取るだけなので、借金をする罪悪感にも苛まれる必要もありません。
正式に福利厚生の一環として導入されている企業であれば、より柔軟に給料前払い制度を利用できるでしょう。
給料の前借り・前払いのデメリット
給料前払い制度はたしかに便利ですが、利用する際はデメリットも十分に理解しておかなければなりません。
まず注意すべきは、安易に給料前払い制度を多用すると、お金の管理が雑になるリスクです。
給料日前に受け取れる手軽さから利用が癖になると、本来の給料日には手取り額が減るため、次月以降も前払いを利用する悪循環に陥る可能性があります。
また、「立替払い型」のサービスによっては、手数料が発生したり、職場から経済的に困窮している印象を持たれたりする可能性も考えられます。
給料前払い制度の利用を検討している方は、デメリットをそれぞれ把握した上で、本当に必要なときにだけ計画的に利用するよう心がけましょう。
給料の前払いを受ける3つの方法

給料の前払いを受ける3つの方法は、以下のとおりです。
- 福利厚生としての前払い制度を利用する
- 非常時の要件を満たす
- 会社に相談を行う
自身の状況や会社の制度によって利用できる方法が異なります。それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
福利厚生としての前払い制度を利用する
会社が福利厚生の一環として「前給制度」を導入していれば、法律上の非常時に該当しなくても、働いた分の給料を給料日前に受け取れます。
派遣社員の場合でも、雇用元である派遣会社に制度があれば利用可能です。
また、会社が実施する給料前払いは、会社が直接対応する「自社払い型」と、外部業者が立替える「立替払い型」の2方式に分けられます。
立替払い型方式は、契約書の提出や専用サイトでの申込から、指定口座への入金の流れで処理されるのが一般的です。
ただし、立替払い型で利用するサービスによっては、システム手数料や振込手数料が発生する場合もあるため、規定をよく確認しておきましょう。
非常時の要件を満たす
会社の福利厚生に前払い制度がない場合でも、労働基準法第25条で定められた「非常時」に該当する状況であれば、会社に前払いを請求できます。
給料の前払いは法律で認められた労働者の権利であり、会社は原則として応じる義務があります。
対象となる非常時の具体例は、以下のとおりです。
- 出産
- 病気
- 災害
- 結婚
- 死亡
- やむを得ない事情による1週間以上の帰郷
上記の事情に当てはまる場合は、すでに働いた分の給料に限り、会社に前払いを請求できます。利用する際は上司や人事部門に事情を説明し、前払いを希望する旨を伝えましょう。
会社に相談を行う
勤務先に給料前払い制度がなく、法律上の非常時の要件にも当てはまらない場合でも、会社に相談すると、前払いに応じてくれる可能性があります。
会社に前払いに応じる義務はありませんが、日頃の勤務態度や事情によっては個別に対応してくれる場合もあるでしょう。
相談する際は口約束だけでなく、後々のトラブルを避けるためにも、申請理由や金額を記した書面を提出しておくと安心です。
ただし、法律上は会社が給料前払いに応じる義務がない点は、忘れてはいけません。
また、正式に給料前払いが制度として導入されていない会社では、対応に時間がかかることが予測されるため、早めに相談することも意識しましょう。
給与前払い制度がある場合の申請方法【実例を用いて紹介】
給与前払い制度の申請方法は、企業や利用するサービスによって異なります。
ここでは、人材派遣会社ウィルオブの「前給制度」を例に、具体的な申請の流れを見ていきましょう。
ウィルオブでは、派遣スタッフとして就業する方を対象に、働いた実績に応じて給与の一部を給料日前に受け取れる制度を導入しています。
申請は「前給専用の携帯サイト」からオンラインで手続きする形式で、利用条件は以下のとおりです。
- 通常の給与支払いは月1回(例:3月勤務分は4月20日に支払い)
- 前給で受け取れる金額は1日あたり最大5,000円まで
- 1ヵ月あたりの前給利用限度額は最大15万円
詳しい申請手順や操作方法は、入社時に担当コーディネーターから案内されるので安心してください。
給与前払い制度がない場合の申請方法
勤務先に給与前払い制度がない場合、まずは直属の上司か人事部門に直接相談しましょう。
相談する際は、「なぜ前払いが必要なのか」を具体的な事情とともに誠実に説明するのが大切です。
会社によっては、申請書や理由書などの提出を求められる場合もあるため、事前に説明内容を整理しておくとスムーズに手続きを進められます。
もし、会社に断られてしまった場合でも、感情的にならず冷静に対応してください。また、どうしても緊急で資金が必要な場合は、公的支援制度や緊急小口資金の利用も検討しましょう。
給料の前払いを利用する際に注意する3つのポイント
給料の前払いを利用する際に注意する3つのポイントは、以下のとおりです。
- 給料前払いサービスが導入されているか確認する
- 必ず即日支払われるわけではない
- 前払い分は給料から差し引かれる
給料の前払いを利用する際は、いくつか注意すべき点が存在します。注意点を知らないまま利用すると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
給料前払いサービスが導入されているか確認する
まず、自分の会社に給料前払い制度が導入されているかを、就業規則や社内ポータルなどで確認しましょう。
制度の有無は会社によって異なり、導入されていても、雇用形態によっては利用できない場合があります。
派遣社員の場合は、実際に働いている派遣先の会社ではなく、雇用主である派遣会社に制度の有無を確認する必要があります。
また、会社が直接支払うのか、外部業者が提供するサービスなのかによって申請方法や手数料が異なるため、詳細を確認しましょう。
なお、前払いサービスの手数料が給料から引かれている場合は、労働基準法第25条に抵触する可能性があるため、必ず振り込まれた金額を確認してください。
参考:賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
必ず即日支払われるわけではない
給料の前払いを申請しても、即日お金が振り込まれるとは限らないため、注意しましょう。
労働基準法第25条では、企業は非常時には前払いに対応する義務があるとしているものの、支払時期に関する明確な規定は設けていません。
外部の前払いサービスを利用する場合も、サービス事業者や申請する時間帯によって対応スピードは異なります。
即日対応をうたっていても、銀行の営業時間外の申請した場合は、翌営業日の振込になるのが一般的です。
緊急でお金が必要な場合は、いつ振り込まれるのかを事前に確認しておきましょう。
前払い分は給料から差し引かれる
給料の前払いは、あくまで「給料の支払いタイミングを早める」制度です。借金ではないため返済義務はありませんが、次の給料日には前払いで受け取った金額が差し引かれます。
制度の内容を正しく理解した上で利用しなければ、生活が苦しくなってしまうかもしれません。
給料前払い制度を利用する際は、次の給料額が減ることを念頭に置き、計画的に利用するのが大切です。
給料の前払いに関するよくある質問
給料前払いとは何ですか?
給料前払いとは、実際の給料日より前に働いた分の給与を一部受け取ることができる制度です。従業員の急な出費に対応するために導入している企業もあります。
詳しくは給料の前払いとは?で解説しています。
給料前払いは違法ではないのですか?
給料前払いは法律上問題ありません。ただし、労働基準法第24条により、原則として賃金は毎月1回以上、一定期日に全額支払うことが定められており、事前に就業規則などで取り決めが必要です。
詳しくは給料の前払いとは?で解説しています。
給料前払いと給料前借りの違いは何ですか?
給料前払いは、すでに働いた分の給与を前倒しで受け取ることを指します。一方、給料前借りは、まだ働いていない将来の給与を借りる行為で、貸付とみなされる可能性があります。
詳しくは給料の前払いとは?で解説しています。
前払いを利用するにはどうすればいいですか?
企業によって制度が異なりますが、基本的には専用アプリや申請フォームを使って申請することで利用できます。事前に勤務実績や申請上限などの条件を確認しておく必要があります。
詳しくは給与前払い制度がある場合の申請方法【実例を用いて紹介】、給与前払い制度がない場合の申請方法で解説しています。
給料前払いのメリットとデメリットは何ですか?
メリットは急な出費に対応できる点、生活の安定につながる点です。一方で、使いすぎや手数料が発生する可能性があることがデメリットとされています。
詳しくは給料の前借り・前払いのメリット、給料の前借り・前払いのデメリットで解説しています。
給料の前払い制度についてのまとめ
給料の前払いは、すでに働いた分の給料を本来の支払日より前に受け取る制度です。将来の給料を借金する「前借り」とは根本的に異なります。
労働基準法では、出産や災害など「非常時」に従業員が行使できる権利として定められています。また、給料前払い制度を福利厚生の一環として採用している企業も少なくありません。
ただし、給料前払い制度を利用する際は、手数料が発生したり、無計画に利用し過ぎたりすると経済的に苦しくなったりするデメリットを事前に理解しておきましょう。
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